
新学期になると、朝なかなか起きられない子どもの様子に頭を悩ませている保護者の方も多いのではないでしょうか。「怠けているだけ」「気合いが足りない」と思いがちですが、実は体の病気が隠れている可能性があります。それが「起立性調節障害」です。
起立性調節障害とは、立ち上がるときなどに血圧や心拍の調節がうまくいかなくなり、朝に様々な不調が出やすくなる病気です。主な症状としては、朝起きられない、立ちくらみやめまい、頭痛や腹痛、動悸やだるさ、集中しにくいといったものが挙げられます。これらの症状が午前中に特に出やすいという特徴があります。午後になると症状が和らぐことも多いため、「午前中だけ具合が悪いのはおかしい」と周囲から誤解されやすいのです。
この病気が特に多いのは思春期、中でも中学生の年代です。ホンダらの研究によると、男子で約17%、女子で約26%に見られるという報告があります。また藤田らの研究では、不登校の子どもの約3〜4割に起立性調節障害が併存するとされています。成長期の体の変化や自律神経の発達途上にあることが影響しており、ストレスも症状を悪化させる要因のひとつとされています。
朝起きられない子どもを前にしたとき、叱ったり無理やり起こしたりすることは症状の改善には繋がりにくく、むしろ本人をさらに追い詰めてしまうことがあります。本人も怠けたいわけではなく、体が思うように動かないことへの辛さや焦りを感じていることが多いのです。まずは「甘えではないかもしれない」という視点を持つことが大切です。
日常生活での対処のポイントとしては、こまめに水分を取ること、体を少しずつ動かして血流を促すこと、生活リズムを整えること、そして急に立ち上がらずゆっくりと体を起こすことが挙げられます。朝起きるときは、いきなり立ち上がらずに布団の中でしばらく体を動かしてから、ゆっくりと上半身を起こす習慣をつけると症状が和らぎやすくなります。
気になる症状が続いている場合は、小児科への相談をおすすめします。起立性調節障害は適切な診断と対処によって改善が期待できる病気です。朝の不調を本人の意志の問題として片付けず、体のサインとして受け止めることが、子どもにとっての大きな支えになります。新学期のこの時期、子どもの朝の様子をもう一度丁寧に見てみてください。