
ジメジメとした空気が続く梅雨の季節、なんとなく眠りが浅い気がする、夜中に目が覚めてしまう、朝起きても疲れが取れていないという経験をしている方は多いのではないでしょうか。暑さのせいだろうと思いがちですが、実は「湿度」が睡眠の質を大きく左右していることが、大規模な研究データから明らかになってきました。
2025年にタン・トゥンらが行った研究では、脳波計を用いて1万名弱の睡眠を計測し、湿度と睡眠の関係を詳しく調べました。その結果、湿度が高い環境では中途覚醒の回数が増え、睡眠の質が低下することがわかりました。さらに睡眠時間が短くなり、深い睡眠が10〜20%減少するという結果も報告されています。1万人近くという大規模なデータから導き出された結果だけに、湿度が睡眠に与える影響の大きさは無視できません。
なぜ湿度が高いと眠りが浅くなってしまうのでしょうか。そのカギを握るのが「深部体温」です。良質な睡眠を得るためには、眠りに入るタイミングで体の内部の温度、つまり深部体温が下がることが必要です。深部体温が低下することで脳や体がリラックスモードに入り、自然な眠気が訪れてスムーズに眠りにつくことができます。ところが湿度が高い環境では、体表面からの熱の放散が妨げられてしまいます。肌から熱がうまく逃げられないため、深部体温がなかなか下がらず、体が覚醒した状態のまま眠りにつこうとすることになるのです。蒸し暑い夜にどれだけ横になっても眠れない、というあの感覚は、まさにこのメカニズムによるものです。
梅雨の時期は特に注意が必要です。梅雨の夜は湿度が90%を超える日も珍しくなく、何も対策をしなければ睡眠に適した環境とはほど遠い状態になってしまいます。快眠のために推奨される湿度は50〜60%とされており、これを大きく超える梅雨の夜は積極的に湿度をコントロールすることが大切です。
そこで活躍するのがエアコンの除湿モードです。冷房モードは温度を下げることを主な目的としていますが、除湿モードは室内の湿気を取り除くことに特化しています。梅雨の夜は気温がそれほど高くなくても湿度だけが高い日も多く、そのような場合は冷房よりも除湿のほうが効果的に快眠環境を整えられます。50〜60%という湿度を目安に、就寝前からエアコンの除湿モードを活用して寝室の環境を整えておくことをおすすめします。
睡眠環境というと温度に意識が向きがちですが、湿度もそれと同じくらい重要な要素です。どれだけ室温を適切に保っていても、湿度が高いままでは深部体温がうまく下がらず、眠りの質は改善されにくいのです。温度と湿度をセットで管理することが、梅雨の時期に快眠を手に入れるための基本といえます。
じめじめした夜が続くこれからの季節、エアコンの設定をひと工夫するだけで、眠りの深さと朝の目覚めが変わってくるかもしれません。湿度計を寝室に置いて数値を確認しながら、自分にとって最適な睡眠環境を整えてみてください。