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2024.10.27
コラム

睡眠コラム|不眠治療の新常識—薬を使わない認知行動療法が注目を集める理由

認知行動療法は、アメリカではすでに保険適用となっているメジャーな治療法であり、日本でも近年少しずつ認知度が高まってきています。薬に頼らない治療法として注目されており、不眠症をはじめとするさまざまな症状への応用が期待されています。今回は、認知行動療法の考え方や具体的な流れ、そして長所・短所についてご紹介します。

認知行動療法を一言で表すなら、「習慣を直す治療法」です。ここでいう習慣とは、日常の行動だけでなく、ものの考え方や受け止め方も含みます。不眠症の場合、「今夜も眠れないかもしれない」という不安な思い込みが繰り返されることで、眠れない状態が慢性化してしまうことがあります。認知行動療法では、こうした癖づいた考え方のパターンを客観的に見つめ直し、より適切な思考・行動へと少しずつ修正していくことを目的としています。

認知行動療法は、大きく3つのステップで進んでいきます。

「自分の状態に気づく」自分がどのような状況でストレスを感じ、どのような思考パターンに陥っているかを把握することが出発点となります。不眠症の場合は、睡眠日誌などを活用して毎日の睡眠状況を記録し、自分の睡眠の傾向を可視化していきます。

「今までと違うパターンを試す」気づいた思考や行動の癖に対して、意識的に別のアプローチを取ってみます。カウンセリングを通じて専門家のサポートを受けながら、新しい考え方や行動を少しずつ試していきます。

「よいパターンを身につける」試行錯誤を繰り返しながら、自分に合った健全な思考・行動パターンを定着させていきます。

認知行動療法の長所は、副作用がなく、かつ改善効果が高い点です。研究によると、症状が改善・減少する人は70〜80%にのぼり、診断基準における完治率も約50%という結果が報告されています。薬物療法と比較して身体的な副作用がないため、長期的な治療にも取り組みやすいという利点があります。

もう一つの長所は、効果が長期間持続することです。治療を通じて新しい習慣や思考パターンが身につくと、治療終了後もその効果が継続しやすいとされています。根本的な「習慣」を変えることで、再発予防にもつながる点が評価されています。

一方で、認知行動療法の短所もあります。まず、治療にある程度の期間がかかる点です。習慣や思考の癖を変えていくには時間が必要であり、短期間での解決を求める方には向かない場合があります。

また、本人の主体的な取り組みが不可欠であることも短所の一つです。カウンセリングを受けるだけでなく、日常生活の中で意識的に新しいパターンを実践し続けることが求められます。受け身の姿勢では十分な効果が得られにくいため、本人のモチベーションや継続意志が重要になります。

不眠症の中には、眠れないことへの焦りや不安がさらなる不眠を引き起こすという悪循環に陥っているケースが少なくありません。そのような場合には、思考や行動の習慣を根本から見直す認知行動療法が有効に働く可能性があります。副作用がなく効果の持続性も高いこの治療法を、不眠に悩む方はぜひ選択肢の一つとして検討してみてください。

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