
新生活が始まるこの時期、新しい部屋に引っ越したり、寝室を模様替えしたりする方も多いのではないでしょうか。ベッドや寝具にこだわる方は多い一方で、カーテンを睡眠の観点から選んでいるという方はそれほど多くないかもしれません。しかし実は、カーテンは睡眠の質や体内リズムに大きな影響を与えるアイテムのひとつです。今回は、カーテンと睡眠の関係を掘り下げた研究をもとに、自分の生活スタイルに合ったカーテン選びについて考えてみます。
「遮光カーテンにすれば外の光が遮られてよく眠れる」と思っている方は多いのではないでしょうか。確かに、眠りを妨げる光を遮断するという意味では一定の効果がありそうに思えます。ところが、2001年に竹内らが行った研究では、完全遮光カーテンを使用している人は、レースカーテンなど光が入るカーテンを使っている人と比べて、寝つきに時間がかかる傾向があることがわかりました。遮光性を高めれば高めるほど眠りやすくなるというわけではなかったのです。
その理由は、朝の自然光と体内時計の関係にあります。人間の体内時計は約24時間周期で動いていますが、実はこの時計はわずかにズレやすい性質を持っています。そのズレをリセットして正しい時刻に合わせる役割を担っているのが、朝に浴びる自然光です。完全遮光カーテンを使っていると、朝になっても部屋の中に光が入ってこないため、体内時計のリセットが遅れてしまいます。その結果、夜になっても眠気が訪れるタイミングが後ろにずれ込み、寝つきが悪くなってしまうのです。快眠のために選んだカーテンが、皮肉にも眠りを妨げる原因になっていたということです。
ただし、すべての人に遮光カーテンが不向きというわけではありません。夜勤や早朝勤務などシフト勤務の方や、朝から昼にかけて睡眠をとる必要がある方にとっては、日中の強い光を遮断するために遮光性の高いカーテンが有効です。昼間の明るい時間帯に眠るためには、光を遮ることが睡眠の妨げを防ぐうえで重要になります。大切なのは、自分の生活スタイルに合った遮光性を選ぶことです。その際、起きる時間にはしっかりと光を浴びられるよう、タイマー式の照明や光で目覚める光目覚まし時計を組み合わせて活用することをおすすめします。
近年注目されているのが、設定した時間になると自動でカーテンが開くスマートカーテンです。目覚まし時計の大きな音で無理やり起こされるのではなく、朝の光が少しずつ部屋に差し込んでくることで体が自然に覚醒していく、そのプロセスが体にとって理想的な起き方に近いのです。スマートカーテンはその環境を手軽に再現できるアイテムといえます。ただし、カーテンが動く際の駆動音が気になる場合もあるため、製品選びの際には動作音にも注意が必要です。
カーテン一枚で睡眠がそこまで変わるのか、と思う方もいるかもしれません。しかし体内時計は毎朝の光の刺激によって調整されており、その積み重ねが日々の寝つきや目覚めの質に直結しています。新生活のタイミングは、こうした睡眠環境を見直す絶好の機会です。今使っているカーテンの遮光性が自分の生活リズムに合っているかどうか、一度確認してみてください。朝なかなか目が覚めない、夜になっても眠気が来ない、という方は、カーテンを変えるだけで体内時計が整い、睡眠の質が改善されるかもしれません。眠りを変えたいなら、まず窓まわりから見直してみることをおすすめします。