
仕事や勉強で疲れたとき、チョコレートや甘いお菓子に手が伸びてしまうことはありませんか。「糖分を補給すれば元気が出る」という感覚は多くの人が持っており、疲れたら甘いものというのはある種の常識のように広まっています。しかし2024年にエルゴバシーらが発表した研究では、疲労時の糖分摂取が一時的な回復をもたらす一方で、時間が経つにつれてかえって疲労感を増大させることがあると報告されました。甘いものが疲れを取るどころか、疲れを深めてしまうことがあるというのです。
研究によると、糖分を摂取した直後は確かに一定の効果が見られました。エネルギーが補給されることで筋力が維持され、パフォーマンスの向上も認められたのです。しかし問題はその後です。時間が経つにつれて血糖値が低下し、摂取前よりも強い疲労感が生じることがわかりました。これは「シュガークラッシュ」と呼ばれる現象で、甘いものによる反動的な疲労感のことを指します。
シュガークラッシュが起きるメカニズムは、血糖値の急激な変動にあります。糖分はエネルギーの源であり、血糖値が下がると疲労感につながります。チョコレートや菓子類などの糖分を一気に摂取すると、血糖値が急激に上昇します。すると体はその変化を元に戻そうと働き、インスリンを大量に分泌して血糖値を下げようとします。急上昇した分だけ急降下しやすくなるため、結果として摂取前よりも血糖値が低い状態になってしまい、強い疲労感や眠気、集中力の低下を招くのです。甘いものを食べた後にかえってだるくなったり、眠くなったりした経験がある方は、このシュガークラッシュが起きていた可能性があります。
では疲れたときに何を食べれば良いのでしょうか。おすすめとして挙げられているのが、ナッツとヨーグルトです。どちらも血糖値が急激に変動しにくい食品であり、シュガークラッシュが起きにくいとされています。ナッツは良質な脂質やたんぱく質を含んでおり、エネルギーをゆっくりと持続的に供給してくれます。ヨーグルトもたんぱく質や乳酸菌を含み、腹持ちが良く血糖値の上昇が緩やかです。甘いお菓子のような即効性はないかもしれませんが、食後に疲労感がぶり返すことなく、安定したエネルギーを保てるという点で優れています。
仕事の合間のおやつや、勉強の休憩時間に何を口にするかは、その後のパフォーマンスに思った以上に影響しています。甘いものを完全にやめる必要はありませんが、疲労感が強いときや集中力を維持したいときほど、血糖値の変動が緩やかな食品を選ぶ意識を持つことが大切です。特に午後の眠くなりやすい時間帯に甘いものを大量に摂ると、その後のシュガークラッシュで余計にだるくなってしまうことがあります。
日々の小さな食の選択が、疲れやすさや集中力の持続に影響していることを知っておくだけでも、おやつの選び方が変わってくるはずです。次に疲れを感じたとき、チョコレートに手を伸ばす前に、ナッツやヨーグルトを選んでみてください。甘いものへの誘惑に勝てなかったとしても、少量にとどめる意識を持つだけで、シュガークラッシュのリスクを減らすことができます。疲れたときこそ、体に優しい食べ方を心がけてみてはいかがでしょうか。