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2025.03.16
コラム

睡眠コラム|寝る前の音楽、実は逆効果かもしれない。「イヤーワーム」に要注意

寝る前にお気に入りの音楽を流しながらベッドに入る、という習慣を持っている方は多いのではないでしょうか。リラックスできる気がする、無音だと落ち着かない、なんとなく眠りに入りやすい気がする……そんな理由から、就寝時の音楽を日課にしている方もいるかもしれません。実は音楽と睡眠の関係は、良い面と悪い面の両方があることが研究からわかってきています。今回は、睡眠と音の関係を掘り下げながら、より良い眠りのための音環境について考えてみます。

まず、音楽が睡眠に良い影響を与えるケースから見ていきましょう。クラシック音楽や自然音など、テンポがゆったりとした音楽は、心拍数や血圧を下げ、体をリラックス状態へと導く効果があることが知られています。人の体は、穏やかなリズムの音に合わせるように自律神経が整っていく性質があります。激しい運動の後に呼吸が落ち着いてくるように、ゆったりとした音楽を聴くことで体が「もう休んでいいよ」というサインを受け取り、自然な眠気へとつながっていくのです。寝つきが悪いと感じている方は、就寝前にこうした音楽を取り入れてみる価値は十分にあります。

近年よく耳にするようになった「ホワイトノイズ」も、睡眠との関連で注目されている音のひとつです。ホワイトノイズとは、特定の音程や旋律を持たない、一定の周波数が混ざり合った音のことで、テレビの砂嵐音や換気扇の音に近いイメージです。一見すると眠りを妨げそうに思えますが、実はこのホワイトノイズには、外部から入ってくる雑音を遮断し、睡眠環境を整える効果があるとされています。宮城らの研究でも、適度な音量と時間であれば睡眠に良い影響をもたらすことが報告されています。騒音が気になる環境や、無音に不安を感じる方にとっては、ホワイトノイズを活用することで眠りやすい環境を整えられるかもしれません。

一方で、すべての音楽が睡眠に良いわけではありません。歌詞のある曲やテンポの速い音楽を寝る前に聴くことは、むしろ眠りの質を下げる可能性があります。その理由のひとつとして挙げられるのが、「イヤーワーム」という現象です。イヤーワームとは、特定のメロディや歌詞が頭の中でぐるぐると繰り返され、なかなか止まらなくなる状態のことです。「あの曲が頭から離れない」という経験をしたことがある方は多いはずです。これが就寝中に起きると、脳が音楽の処理を続けてしまい、深い眠りに入る妨げになることが報告されています。楽しい曲、好きな曲であっても、寝る直前に聴くには不向きな場合があるのです。

歌詞のある音楽が眠りに向かない理由は、脳の働き方にあります。人は言語を処理する際、脳の特定の領域を活発に使います。歌詞を聴いていると、意識していなくても言語処理が行われ、脳が活性化した状態になってしまいます。リラックスして眠りに入るためには、脳をいかに静めるかが重要なのに、歌詞はその逆の作用をもたらしてしまうのです。

今夜から、寝室に流す音を少し意識してみてください。好きなアーティストの曲をBGMにする習慣がある方は、就寝の少し前までにとどめ、眠りにつく直前はゆったりとした曲やホワイトノイズに切り替えてみるだけでも、眠りの深さが変わってくるかもしれません。小さな習慣の積み重ねが、毎朝の目覚めを少しずつ変えていきます。

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