
夢を見ているとき、「これは夢だ」と気づいたことはありますか。ほとんどの人は夢の中でそれが現実だと信じて疑わず、目が覚めてからはじめて「夢だったのか」と気づきます。しかしごく一部の人は、夢を見ながらその中で「今自分は夢を見ている」と自覚できることがあるのです。これを「明晰夢」と呼びます。
明晰夢とは、夢であると気づきながら見る夢のことです。単に夢だと気づくだけでなく、慣れてくると夢の内容を自分の意志でコントロールできるようになる人もいます。空を自由に飛んだり、行ったことのない場所を冒険したり、現実では絶対に体験できないような出来事を映画の主人公のように体験したりすることができるのです。夢の中で完全な自由を手に入れるような、不思議でロマンあふれる体験といえます。
明晰夢と聞くと、特別な才能を持った一部の人にしかできないことのように思えるかもしれません。しかし2012年にストゥンブリスらが行った研究では、遺伝や体質によるものではなく、訓練によって明晰夢を見られる確率が上がることが明らかになっています。つまり、正しい方法で練習を積み重ねることで、誰でも明晰夢を体験できる可能性があるのです。
では具体的にどのような訓練をすればよいのでしょうか。ラバージュが1985年に提唱した方法をもとに、明晰夢を見るための三つのステップをご紹介します。
ステップ①夢日記をつける
毎朝目が覚めたら、夢の内容をできるだけ早くメモしておきます。夢の記憶は目覚めた直後から急速に薄れていくため、枕元にノートやスマートフォンを置いておき、起きたらすぐに書き留める習慣をつけることが大切です。夢を記録し続けることで夢の記憶力が高まり、夢の中での自覚が生まれやすくなります。
ステップ②日中に「現実チェック」を行う習慣をつける
「今、自分は夢を見ているのだろうか?」と日常的に自問するクセをつけることで、この習慣が夢の中にも持ち込まれるようになります。たとえば手のひらを見つめて指の数を確認したり、文字を読んでみたりすることが現実チェックの方法として知られています。夢の中ではこうした行為が現実と異なる結果をもたらすことが多く、夢であることに気づくきっかけになります。
ステップ③寝る前に「夢の中で夢だと気づく」と自己暗示をかける
眠りにつく直前に、今夜見る夢の中で自分が夢だと自覚することをイメージしながら強く念じます。この自己暗示を繰り返すことで、夢の中で意識が覚醒しやすくなるとされています。
三つのステップはどれも日常の中で無理なく続けられるものばかりです。すぐに明晰夢が見られるようになるわけではありませんが、習慣として継続することで体験できる確率が高まっていきます。夢の中で自由に空を飛べる日を夢見ながら、今夜から試してみてはいかがでしょうか。