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2025.08.10
コラム

睡眠コラム|孤独だと眠れないのは本能だった―人とのつながりが睡眠を守っている理由

「今日は誰とも話していないな」という日の夜、なんとなく寝つけなかったり眠りが浅かったりした経験はありませんか。気のせいだろうと思っていたその感覚、実は睡眠研究によって裏付けられていることがわかっています。人とのつながりと睡眠の間には、私たちが思っている以上に深い関係があるのです。

2010年にホークリーらが行った研究では、孤独を感じると眠りが浅くなりやすく、夜中に目が覚める覚醒が増える傾向があることが明らかになっています。一方、2021年のゴードンらの研究では、楽しい会話が多い日ほど眠りが深くなりやすく、リラックスした状態で眠れることが報告されています。人と話したかどうかという、一見睡眠とは無関係に思えることが、その夜の眠りの質を左右していたのです。

なぜ孤独を感じると眠れなくなるのでしょうか。その理由は人間の進化の歴史にさかのぼります。はるか昔、人間は群れを作って生活しており、仲間から切り離されることは命に関わる危険を意味していました。その本能的な記憶が今も脳に刻まれており、孤独を感じると脳が「危険な状態にある」と判断し、戦闘モードに入ってしまうのです。交感神経が高まり、体は警戒状態を保とうとするため、リラックスして眠りに入ることが難しくなります。現代社会において孤独が命の危険につながることはほとんどありませんが、脳の反応は何万年も前のままなのです。

では、どのようなコミュニケーションが睡眠に良い影響をもたらすのでしょうか。ここで重要になるのが、対面でのふれあいです。直接人と会って話したり触れ合ったりすることで、「愛情ホルモン」とも呼ばれるオキシトシンが分泌されます。オキシトシンにはストレスを和らげる効果があり、副交感神経を優位にしてリラックス状態をもたらすことで、質の良い睡眠につながりやすくなります。

一方、SNSを中心としたつながりは注意が必要です。ノウランドらやシュナイダーマンらの研究では、SNS中心のコミュニケーションは孤独感を強めやすく、睡眠の質が低下することがあると報告されています。画面の向こうに多くのつながりがあっても、対面でのふれあいが持つ温かさや安心感とは異なるものであり、脳が求める「群れの中にいる」という感覚を満たすには不十分なことがあるのです。スマートフォンを手放せない夜が続いているという方は、SNSでのやり取りが逆に孤独感を深めている可能性も考えてみてください。

忙しい日々の中で意識的に人と会う機会をつくることは、簡単ではないかもしれません。しかし友人や家族と直接顔を合わせて話す時間は、心の充足感をもたらすだけでなく、その夜の眠りの質にも直結しています。今日誰とも話していないと感じたときは、短い電話でもいいので声を聞くことから始めてみてください。人とのつながりを大切にすることが、毎晩の眠りを守ることにもつながっているのです。

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