
ゴールデンウィークを満喫していても、最終日が近づくにつれてなんとなく憂鬱な気持ちになってくる方は多いのではないでしょうか。「明日から仕事か……」という気持ちの問題だけでなく、実は体のリズムそのものが休暇中にズレてしまっていることが、休み明けのつらさに大きく関わっています。
長期休暇中、いつもより遅くまで起きていたり、朝もゆっくり寝ていたりしていませんか。ロペスらの研究によると、休暇中は平日と比べて睡眠リズムが平均1時間20分ほど後ろ倒しになるという報告があります。毎日少しずつ寝る時間と起きる時間が遅くなっていき、気づけば普段とはまったく異なる生活リズムが出来上がってしまっているのです。休暇中はそれでも問題なく過ごせますが、仕事や学校が再開する初日に一気にツケが回ってきます。早起きしなければならないのに眠れない、無理やり起きても頭が働かない、日中ずっと眠くてぼんやりしてしまう……。これはまさに海外旅行をしたときに経験する時差ボケと同じ状態です。
この現象は「ソーシャルジェットラグ」と呼ばれています。飛行機に乗って海外に行ったわけでもないのに、社会的なスケジュールと体内時計のズレによって、時差ボケのような症状が引き起こされるのです。休暇明けに「なんとなく体が重い」「集中できない」「疲れが取れない」と感じるのは、気合いや根性の問題ではなく、体内時計が乱れているという生理的な現象です。
では、ソーシャルジェットラグを防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。ウィットマンらの研究によると、睡眠時間よりも起床時刻を整えることが、体内リズムのズレを小さくするうえで重要だとされています。何時間眠るかよりも、何時に起きるかのほうが体内時計への影響が大きいのです。これは体内時計が主に朝の光によってリセットされる仕組みと関係しています。毎朝同じ時間に起きて光を浴びることで、体内時計が正しい時刻に合わせられ、夜に自然な眠気が訪れるサイクルが維持されます。
そこで特におすすめしたいのが、長期休暇の最終日だけは平日と同じ時間に起きるという方法です。最後の一日くらいゆっくり寝ていたいという気持ちはよくわかりますが、ここで踏ん張って普段の起床時刻に合わせることが、翌日からのパフォーマンス低下を防ぐための有効な予防策になります。最終日の朝に一度リズムを戻しておくだけで、初出勤日・初登校日の朝のつらさがかなり軽減されるはずです。
休暇中のすべての日を平日と同じリズムで過ごす必要はありません。せっかくの休みなのですから、ある程度ゆったりと過ごすことは心身のリフレッシュにとって大切なことです。ただ、最終日だけは少し意識してみてください。たったそれだけの工夫が、休み明け初日の体と頭のコンディションを大きく左右します。連休を思い切り楽しんだうえで、最後の朝だけはいつもの時間に目覚まし時計をセットする。それが、充実した休暇と好調なスタートの両方を手に入れるための、最もシンプルな方法です。