
あなたは朝型ですか?それとも夜型ですか?目覚まし時計が鳴る前に自然と目が覚めて、清々しい朝を迎えられる人がいる一方、夜になると頭が冴えわたり、気づけば深夜まで活動してしまうという人も少なくありません。「自分は夜型だから朝が苦手で……」と思っている方も多いのではないでしょうか。
実はこの朝型・夜型の違い、正式には「クロノタイプ」と呼ばれ、れっきとした個人差のひとつです。研究によると、人口の中での割合はおよそ朝型が25%、夜型が25%、そしてどちらでもない中間型が50%程度だといわれています。つまり、4人に1人は朝型、4人に1人は夜型ということになります。「夜型は怠け者」「朝型は勤勉」などと言われることもありますが、これは単なる習慣の違いではなく、体内に刻まれたリズムの個人差なのです。
では、このクロノタイプはどのようにして決まるのでしょうか。遺伝や生活環境の影響が大きいことは以前から知られていましたが、近年の研究で新たな要因が注目されるようになりました。それが「生まれた季節」です。
2009年にナターレらが行った研究では、約5,000人を対象に睡眠パターンを調査しました。その結果、春や夏に生まれた人は、秋や冬に生まれた人と比べて就寝時刻が遅く、睡眠のリズム全体が後ろにズレている傾向があることがわかりました。つまり、春・夏生まれの人は夜型になりやすく、秋・冬生まれの人は比較的朝型に近い傾向があるというのです。生まれ月によってこれほどの差が生じるとは、少し意外に感じる方も多いのではないでしょうか。
ではなぜ、生まれた季節が睡眠リズムに影響するのでしょうか。そのカギを握るのは、新生児期の日照時間です。人間の体内時計、いわゆる概日リズムは、生まれた直後の時期に大きく形成されると考えられています。この時期に浴びる光の量や、昼と夜の長さのバランスが、その後の朝型・夜型の傾向に影響を与えるというのです。
春や夏に生まれた赤ちゃんは、日が長い季節に新生児期を過ごします。夕方以降も明るい環境にさらされることで、体内時計が遅い方向へとセットされやすくなると考えられています。一方、秋や冬に生まれた赤ちゃんは、日照時間が短い中で過ごすため、体内時計が早めに調整されやすいのではないかとされています。誕生直後のわずかな時期の環境が、何十年にもわたる睡眠リズムの土台をつくっているとすれば、とても興味深い話です。
もちろん、生まれた季節だけがすべてを決めるわけではありません。成長する過程での生活習慣、学校や仕事のスケジュール、スマートフォンやパソコンの使用による光の影響など、クロノタイプに関わる要因は多岐にわたります。大人になってから意識的に生活リズムを変えることも、ある程度は可能です。
それでも、「自分がどうしても夜型で朝が苦手なのは、生まれた季節のせいかもしれない」と思うと、少し気持ちが楽になりませんか。朝型・夜型は意志の強さや性格の問題ではなく、生まれた環境にまでさかのぼる、個人の体のリズムの特性なのです。
春・夏生まれの方は「やっぱり!」と思ったでしょうか。秋・冬生まれで夜型という方は「当てはまらなかった」と感じたかもしれません。クロノタイプはあくまで傾向であり、すべての人に当てはまるわけではありませんが、自分の体のリズムを知るひとつのヒントとして、生まれた季節を振り返ってみるのも面白いかもしれません。自分のクロノタイプを理解することは、毎日の生活をより心地よく整えていくための、小さな第一歩になるはずです。