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2026.01.25
コラム

睡眠コラム|眠ることは怠けじゃない-進化の歴史が示す「睡眠デフォルト説」

「起きている時間が本番で、睡眠はそのための充電時間」という考え方は、多くの人にとって自然に感じられるのではないでしょうか。しかし睡眠研究の世界では、これとはまったく逆の視点から眠りを捉える研究者たちがいます。「睡眠こそが生き物の基本モードであり、起きて活動することの方が後から追加された機能なのかもしれない」という考え方です。

この視点を支える根拠のひとつが、生き物の動きに関する研究です。アナフィらの2019年の研究によると、植物など原始的な生き物ほどほとんど動かないことがわかっています。また2018年のキーンらの研究では、起きて活発に動き回るという高度な行動は、生き物が進化の過程で後から獲得した「追加モード」である可能性が示されています。生命の歴史を振り返ると、動かない状態が先にあり、活動する能力はその後に発達してきたとも考えられるのです。

もうひとつの根拠は脳の細胞の働きです。2000年にサンチェス・ビベスらが行った研究では、脳の細胞は外から刺激が与えられない状態だと、眠っているときと同じ「ゆっくりとしたリズム」で活動することが明らかになっています。つまり脳の細胞にとっては、このゆっくりとした状態が「素の状態」であり、外からの刺激があるから覚醒するという仕組みになっているというのです。起きているときの活発な脳の活動は、常に外からの刺激によって引き起こされている状態であり、刺激がなければ自然と眠りに近い状態に戻っていくのです。

これらの研究を踏まえると、眠っている状態が生き物の標準モードであり、起きて活動することはそこに上乗せされた追加モードだという考え方が見えてきます。私たちは毎日「標準モード」から「追加モード」へと切り替えながら生活しており、夜になると自然と標準モードへと戻っているのかもしれません。

この視点は、睡眠に対する考え方を根本から変えるきっかけになるかもしれません。「睡眠は活動のための休憩」ではなく「活動こそが睡眠からの一時的な離脱」だとすれば、眠ることへの罪悪感や「もったいない」という感覚は的外れだということになります。十分に眠ることは怠けることではなく、生き物として本来の状態に戻ることなのです。

もちろんこれはひとつの仮説であり、すべての研究者が同意しているわけではありません。しかし「睡眠がデフォルト」という視点を持つことで、眠ることをもう少し大切に、そして肯定的に捉えられるようになるのではないでしょうか。今夜眠りにつくとき、それは充電のためではなく、本来の自分に戻る時間なのだと思ってみてください。

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