
あなたの住んでいる都道府県は、十分な睡眠が取れている地域でしょうか。総務省が2021年に実施した社会生活基本調査によって、都道府県別の睡眠時間が明らかになりました。最も睡眠時間が短い県と長い県では最大20分の差があり、同じ日本に住んでいても、どこに暮らすかによって睡眠事情が大きく異なることがわかっています。
睡眠時間が最も短かったのは神奈川県と東京都で、ともに7時間48分でした。続いて静岡県が7時間49分、兵庫県と岡山県が7時間50分と続いています。全国平均が7時間54分であることを考えると、これらの都府県は平均を下回る水準にあります。一方、睡眠時間が最も長かったのは青森県の8時間8分で、秋田県が8時間6分、鹿児島県が8時間5分、宮城県と高知県が8時間4分と続きます。最短の神奈川・東京と最長の青森を比べると、その差は20分にもなります。毎日20分の差が積み重なれば、1年間で約120時間という大きな差になります。
なぜこれほどの差が生まれるのでしょうか。最も大きな要因として挙げられるのが通勤・通学時間です。東京や神奈川などの首都圏では、片道1時間以上の通勤が珍しくなく、往復で2時間以上を移動に費やすという方も多くいます。早朝に家を出て夜遅くに帰宅するという生活リズムでは、必然的に睡眠に充てられる時間が削られてしまいます。都市部の睡眠時間が短い背景には、慌ただしい通勤事情が大きく影響しているといえます。
一方、睡眠時間が長い傾向にある東北地方や地方県では、農業や漁業などの第一次産業に従事している人の割合が高いことが影響していると考えられています。農業や漁業は早朝から活動が始まることが多く、自然と早寝早起きの生活リズムが定着しやすいのです。また東北地方は日の入りが早い季節が長く、夜が長くなることで夜更かしをしにくい環境が自然に整っているとも考えられます。生活スタイルや自然環境が、地域ごとの睡眠時間の違いを生み出しているのです。
この調査結果は、睡眠時間が個人の意志や努力だけでなく、住む場所の環境や社会的な条件によっても大きく左右されることを示しています。首都圏に住む方が睡眠時間を確保することの難しさは、データにも如実に表れています。通勤時間を短縮するために職場近くに引っ越すことや、在宅勤務を活用して移動時間を睡眠に充てるといった工夫が、都市部で暮らす人の睡眠改善につながるかもしれません。
自分の住む地域の睡眠事情を知ることは、自分の睡眠環境を客観的に見直すきっかけになります。全国平均や他の地域と比べて睡眠時間が短いと感じている方は、生活環境を見直すことで改善できる余地がないか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。