
「眠くなったら休もう」と思いながら運転している方は多いのではないでしょうか。しかし実は、その「眠気を感じる」という感覚が訪れる前に、脳はすでに危険な状態に入っていることがあります。それが「マイクロスリープ」です。
マイクロスリープとは、ほんの数秒間、脳が勝手に眠りに落ちてしまう現象のことです。目が開いたままのことも多く、隣に座っている人から見ても起きているように見えます。本人も「ちょっとぼーっとしただけ」としか感じないため、自分がマイクロスリープに陥っていたことに気づけないのです。ボイルらの研究によると、この現象は意識的に防ごうとしても止められないことがあるとされています。
怖いのは、睡眠不足でなくてもマイクロスリープが起きるという点です。十分に眠った健康な人でも、単調な作業を続けるだけで1時間に79回ものマイクロスリープが起きたという報告があります。高速道路のような変化の少ない景色の中での運転は、まさにこの単調な作業に当てはまります。「昨夜はしっかり眠れたから大丈夫」という安心感が、かえって危険を招くことがあるのです。
その危険性を数字で示したのが模擬運転研究です。ボイルらの研究では、運転中に約4.7秒のマイクロスリープが発生していたことが確認されています。時速80キロメートルで走行中にこれが起きると、その間に約105メートルも進んでしまう計算になります。サッカーコート1面分の距離を、目を閉じたまま走り抜けることになるのです。わずか数秒の出来事が、取り返しのつかない事故につながりうることがわかります。
マイクロスリープへの対策として最も確実なのは、運転前にしっかりと眠ることです。また長時間の運転では2時間ごとを目安に休憩を取り、眠気を感じる前にサービスエリアや休憩所に立ち寄ることが重要です。眠気を感じてから休もうと思っても、その時点ですでにマイクロスリープが起きている可能性があります。「まだ大丈夫」という感覚は信頼できないと覚えておいてください。
夏休みのドライブを安全に楽しむために、出発前の十分な睡眠と、こまめな休憩を習慣にしてほしいと思います。