
夏の夜、エアコンをつけて眠っているのになんとなく眠りが浅い、朝起きると体がだるいという経験はありませんか。実は冷房の「つけるかつけないか」だけでなく、「どう使うか」が睡眠の質を大きく左右することが研究からわかっています。
2017年のモリトらの研究では、同じ26℃の室温でも、エアコンの風が強い状態では体動や心拍数の上昇、目が覚めかける反応が見られたことが報告されています。さらに風が体に直接当たると、皮膚が局所的に冷やされてその刺激に体が反応し、目が覚めかける反応が約4.6倍も見られたという結果も示されています。温度設定が同じでも、風の当たり方ひとつで睡眠の質が大きく変わってしまうのです。
なぜ風が睡眠を妨げるのでしょうか。良質な睡眠のためには深部体温をなだらかに下げることが重要ですが、風が体に直接当たると皮膚が急激に局所冷却され、体がその変化に反応して覚醒方向に働いてしまいます。体全体をじんわりと涼しく保つことが理想的であり、風が直接肌に当たり続ける状態はそのじんわり感を乱してしまうのです。就寝時はエアコンの風向きを天井向きや壁向きに調整し、体に直接風が当たらないようにすることが大切です。
また冷やすタイミングも重要です。吉見らの2022年の研究では、就寝2時間前から冷房で室温を約2.5℃下げておくと睡眠の質が最も高かったことが報告されています。眠る直前に急に冷やすよりも、寝室の温度を事前にゆっくりと整えておくことで、体が自然に眠りに入りやすい環境が準備されるのです。帰宅してすぐにエアコンをつけておく習慣をつけるだけで、就寝時には快適な室温が整います。
これらの研究をもとにした睡眠中の冷房の使い方をまとめると、寝る2時間前からオンにして室温を整え、風は体に直接当てないよう向きを調整し、強風ではなく弱めの連続運転にすること、そして湿度も50〜60%前後に保つことが理想的です。目安となる室温は25℃前後ですが、体感には個人差があるため、最終的には自分が心地よいと感じる温度に合わせることが大切です。
エアコンは正しく使えば夏の睡眠の強い味方になります。ただ冷やすだけでなく、風の当たり方とタイミングを意識するだけで、今夜の眠りの質が変わってくるかもしれません。